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パラサイトを観てきました

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昨年韓国映画としては初のカンヌ映画祭パルムドールを受賞しただけでなく、今年に入ってついに英語以外の作品で初めてアカデミー賞の作品賞を受賞という快挙を成し遂げた「パラサイト」、やっと観てきました。

 

このダブル受賞は64年ぶりだそうです。

 

予告編はこちら

 

 

まずですね、「パラサイト」をこれから観る人、もしくはアカデミー賞を受賞したから観に行った人にはこの映画を楽しむにあたって以下のハードルが存在していたはずです。

 

・カンヌで最高賞

アカデミー賞で最高賞

ポン・ジュノ作品

 

最後の3つ目のポン・ジュノ監督作品はともかく、必ず上の2つの項目は頭の中にあったと思うんですよ。

 

そりゃもうダブル受賞なんだから面白いに違いねえ!そしてこれを面白いと感じられないなら俺の感性は腐っているに違いないから面白いに違いない!あっこのシーンはあれでしょあの風刺でこの構図はあの監督のあの作品へのオマージュに違いない!オマージュって何の意味か知らんけど!

 

と、こんなふうにハードルがあると、期待と「この映画を面白いと思わなければならない」という強迫観念にも似た思いを胸に鑑賞するハメになっちゃう。

 

確かに映画の知識が半端じゃなく、博識な方からすれば、この映画が外国語映画としては初めてアカデミー賞作品賞を受賞した意義をなにかしら見いだされるんでしょうし、鑑賞後に「ふん・・・ポン・ジュノもついにここまで来たか」とぼそりと呟いて席を後にすることでしょう。

 

しかしですね、映画館に行く人全員がそんな小難しいことを考えて映画を観たい訳じゃないはずです。やっぱり単純に「面白い映画を観たい」という欲求、日常生活とは違う体験、驚きを求めて映画館に行く人が多いはず。

 

さよならと言った君の気持が分からない、そんな感性の死んだおっさんだってその中の一人。僕の背中は自分が思うより正直かい?と誰かに聞かなきゃ不安になってしまうおっさんだって映画を楽しんでも良いじゃない。好きなものは好きと言える気持ち、抱きしめてたいじゃない。

 

アカデミー賞

 

うっせえ!と。

 

観終わった後に「面白かったー!」とか「すげえもん観た!」と思えたらそれで良いんですよ。面白くなかったんなら素直にそう言って良いと思うんですよ。監督が何を言おうとしてるとか隠れたメッセージとかそんなんどうでも良い。映画は完成してお披露目してしまえばあとは観客のもの。実際に観た自分の感想がすべて。

 

だから僕は言いたい!

 

期待したほどじゃなかった!と。

 

はーい。すっげえ作品だと評判なのに、俺にはいまいち良さがわからんかったから必死に言い訳をしてみました!

 

やっぱり僕の中にはポン・ジュノ作品として「殺人の追憶」「母なる証明」が強いインパクトを残していて、あのどろどろした気持ち悪さと生臭さ、そして荒ぶる力強さがポン・ジュノ作品、ひいては韓国映画の魅力だと思ってるんですね。

 

だからこそ、この「パラサイト」で見られるスタイリッシュな映像と、シーンごとにバシッと決められた構図に違和感を感じてしまいました。ポン・ジュノってこんな監督だっけ?と。おそらくこの映画は芸術的な画の構図も評価されているのかなと思います。ただ、僕は構図で見せてくる映画だとロイ・アンダーソンの作品がとても好きなんです。ロイ・アンダーソンの映画のバカバカしさと哀愁がとても好きなんです。しかしこの「パラサイト」にはあそこまでの滑稽さもなかったですし、構図になんらかの意図がこめられているのは感じるけれどそれが何かは分からんから、ただ「オシャレやなあ」としか思えなかったんです僕は。ようするに俺の感性が死んでいるだけの話なのかもしれんのですが。

 

すげえ穿った見方をすると「ハリウッド狙って撮った?」っていう感じ。一般ウケ狙いましたでしょ?というね。

 

だからまあ、「僕が求めていたものと違っただけ」という結論でしかないんですが、ちょっとカンヌとアカデミー賞でハードル上がりすぎていたのもあってか、う~んという感想になってしまいました。

 

あと、お金持ちのお家に貧困の家族が寄生するという、格差社会をテーマに描いた作品なので、どうしたって暗い気持ちにはなります。

 

ただこの映画の良いところは、金持ちを悪だとして描いていないところで、お金持ちのお家の人たちもそれなりに善良でそれなりの幸せと悩みを抱えた普通の人たちです。決して安易に金持ちを敵視して貧困をお涙頂戴の描き方で応援させるような作りにはなっていません。しかし一方でお金持ちのお家に寄生していく貧乏一家に対しても悪感情を持つような描き方がされておらず、善悪の判断が作品の中でなされていない、フラットな視点がとても良いなと思いました。

 

また、「ネタバレ厳禁!」の広告がされていたようにストーリーに予想外の展開があります。あの展開を最初から予測できる人はそう居ないでしょう。

 

とまあごちゃごちゃと書きましたが、僕の好みじゃなかったというだけの話で、面白い映画でした。笑えるシーンもあります。アカデミー賞とかそういうのはいったん置いといて、純粋に予告編を見て面白そう!と思ったら是非、観るのをお勧めします。

 

相変わらず、ソン・ガンホさんが素敵でして、僕はそれだけでも充分満足できました。

 

あとこれだけの話題作ですので、いろんな人たちが観ています。既に観た人たちと感想を述べ合ったり、お友達や家族で一緒に観に行って感想を言い合うのも楽しいと思いますよ。どういう点が評価されている映画なのか、そして観た自分はどう感じたのか、考えて言葉にして語り合える作品だと思います。

 

久しく映画館へ行ってない人、この機会に是非。

 

それではまた。

 

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