アナーキー・イン・ザ・1R

映画や音楽や読書、1ルームで楽しく生きる

ヘンなおじさんが現れた!

いや、俺じゃねえよ。俺のことじゃねえよ。

 

僕は不覚にも、臭い暗いキモいと3K揃ってしまっておりますが、ヘンじゃねえよ。え?

 

まあ良い。今それは良い。

 

僕がバカやったせいで広告が停止中でして用意していた「好きな音楽 洋楽編」の公開もできなくなってしまったので、最近あった変な話を。

 

先日の仕事帰り、夜の10時過ぎです。

 

地元の駅から帰路についておりました。

時間も遅いので人通りも少なくて暗い道、一人の年配の男性に声をかけられました。

「お兄さんお兄さん、うわあ助かった。この道ほとんど人が通らないから困ってたんですよお」

と、えらくフレンドリーな感じのおじさん。僕よりもはるかにおじさん。そして酒臭い。首もとだるっだるのポロシャツにオーバーサイズのダウン。ジーンズに足元はクロックス。うーん。

聞けば友人と一緒にタクシーで帰宅する途中だったのだが、一緒に乗っていた友達の悪ふざけで自分だけこんな見知らぬ場所で降ろされてしまった。荷物もタクシーに忘れてきて財布も携帯電話もない、とのこと。

うん。まあ良い。事情は分かった。言いたいことはあるけど今はいい。それらをぐっと飲みこんで

「それは大変ですね。で、僕にどうして?(声をかけたんですか?)」

と訊きますと、まともに話ができそうな人を探していた、と言うんですね。つまり平日の夜遅い時間に、おじさんが他人に声かけて通報されるのは困る、だからちゃんと話を聞いてくれる優しそうな人を探していた、と。

この時点で僕の方でもだいぶ思うところがありましたが、とりあえずそのまま付き合うことにしました。で、どちらまで帰るのか、と尋ねたところ、具体的な地名はもう失念してしまったんですが、京都方面でした。ちなみに僕の家は兵庫県神戸市です。

「ええ?遠いですねえ。電車まだあるんですか?」

そう尋ねると、ものすごい「困ってるんです感」を出しながらそのおじさんは僕に、その場所からの最寄りの駅、そこまでの所要時間を尋ねてきました。さらにおじさんが帰りたいという駅までの電車があるかどうかもスマホで調べてさしあげました。優しい。なんて優しいんだ俺は。おじさん、あなたの見立ては間違ってない。ぼかあ優しいよ。

そして調べてみると電車あったんですよまだ。おじさん!帰れるよおじさん!最後の一本があるよ!

それを伝えると、ものすごい「困ってるんです感」を出しながらそのおじさんは僕に、交通費貸してくれと言うんですね。

出たよほら。

薄々そうじゃないかなあって思ってた。最終目的はそこなんだろうなあって思ってたもん。でもなんかさあ、あれでしょ?こういう時って交番に行けばお金貸してくれるんじゃないの?違うの?

渋る僕におじさんはさらに、お金は必ず返すから連絡先、しかも住所を教えて欲しいと言うんですよ。

やだよ。ぜってえやだよ。なんで酔っ払いに個人情報まで渡さにゃならんのだね。

もう喉元まで「詐欺だろうが!」との声が出かかってたんですが、まあ本当に困ってる可能性もあるしなあ。むやみに人を疑うのは良くないよね。そうさせる時代が良くないよね。いやちょっと待って。よく聞いて。みんなこういう時すぐに時代時代って言うけどさ、時代だけのせいじゃないよ。結局はその時代に生きる僕たち人間のせいなんだよ。だって息子を騙ってお年寄りから金を巻き上げる輩がいるんだぜ?コロナウイルス真っただ中で病院からマスク盗んだり、ネットでマスクを高額転売するような奴がいるんだぜ?小学校の先生が同僚の先生を集団で虐めるんだぜ?信じらんないぜ。だからさあ人が人を信じらんないってのはさあ、悲しいよね。悲しいことだよ。僕たちはさあ悲しい生き物なんだね。

 

そうやって僕が遠くを見ている間もおじさんはしきりに交通費を貸してくれと嘆願してくるのです。そんな時間があるなら駅に向かって走れ。電車無くなるぞ。お前の言うことが本当なら電車無くなる方が困るだろうが。金のことは駅で駅員さんに相談しろ。なんなら近くに交番もあるから。

ただね、これ本当に困ってる人の可能性もあるからなあ。そんとこがよくわからん。いやあでもやっぱ詐欺かな。だいたい声かける人を選んでる時点でなあ。俺がお人よしに見えたってことでしょさっきのおじさんの言葉を聞く限りは。お腹も空いてるし明日も仕事だし早く帰りたいのよ俺は。なんだかなあ。俺ホントこうやって変な人に絡まれるの多いなあ。つらみ。つらたん。あっそう言えばさあ、兵庫県?神戸市?なんかマスコットいなかったっけ?なんだっけあれ。ばば・・・あ、はばタン!そうそう。はばタン

 

そうやって僕が夜空の星々を眺めている間もおじさんはしきりに交通費を貸してくれと嘆願してくるので、もうこれが詐欺だろうが詐欺じゃなかろうがどうでも良いわと思って、「お金は貸しません。早く駅に向かった方が良いですよ。」とぴしゃりと言い放って僕はおじさんを駅の方へ促しました。もう面倒臭くなっちゃって。あとどう考えたって俺との押し問答は時間の無駄だろうが。

おじさんはとうとう観念したのか「すみません。ご丁寧にありがとうございました」

とおじさんの方こそ丁寧に僕へ礼を言って駅の方へと向かっていきました。その背中を見送りながら、いや急げよと思いつつも、うーん。もしかして詐欺じゃなかった?だとしたら俺ってば酷い?酷いことした?うーん。どっち?

 

おじさんと別れて家に向かいながらも、やっぱりおじさんを追いかけて行ってお金を渡すべきなのかしら?と逡巡しながらもやっぱり面倒でそのまま帰りました。うーん。

 

次の日。

出勤するために駅に向かいながら、昨日のおじさんはどうしたんだろうか、と本当に困っていたのか、駅員さんに尋ねてみようかとも考えましたが、まあいいかと思ってそのまま出勤しました。

で、会社の先輩に昨日の一連の出来事を話したら「いや、それ詐欺やろ!常套手段!」とすぐさま断定されてしまい「そっかあ詐欺だったのかあ」とひとまず胸を撫で下ろしました。何を俺をお人よし扱いしてくれてまんねん。こっちは詐欺じゃなかったらどうしようとか考えすぎて睡眠不足やのに!これか?これがお人よしか?お人よしなのか俺は。おじさん、あなたの見立ては間違ってない。ぼかあお人よしさ!

 

とまあ結局、今振り返ってみても詐欺だったら腹立たしいけれど、本当に困ってたおじさんだったら申し訳ないことしたな、とは思ってます。

 

んー。でも詐欺ですよね?そう思いたいだけかもしれないけれど。でもあれなんですよ、僕この手の「お金貸してくれ」って知らない人から声かけられるのこれで3回目なんですよ。どうなってんだよ。

 

 

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