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ゾンビ映画ド素人が観た「デッド・ドント・ダイ」ネタばれあり

こんにちは。

緊急事態宣言が解除されて、全国の映画館も営業を再開してくれていますね。嬉しい。

僕が行った映画館では、座席は左右に一つ飛ばしで座るようになっていましたし、マスクしないと入場できないですし、出入り口やトイレにもしっかりアルコール消毒液が置いてあって、コロナ対策もしっかりしてくれていました。観客側としても、もし感染してまた映画館が営業停止になってしまうと悲しいので、ガッシガシにアルコール使いまくってばっちり消毒しました。

という訳で公開が延期されていましたジム・ジャームッシュ監督最新作「デッド・ドント・ダイ」を観てきました。先週の6月5日に封切られたばかりですが、8日に発表された6日、7日の映画興行成績は2位と、滑り出しは上々のようです。皆さん期待していたってことですね。ちなみに1位は「心霊喫茶エクストラの秘密」という邦画で、全く知らないタイトルだったので調べてみたらあれでした。乱暴に言うと組織票でした。

「デッド・ドント・ダイ」に話を戻しますね。

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この映画、どんな映画なのかと言えばゾンビ映画です。アメリカの田舎町を舞台にとあるきっかけで街の墓地に埋葬されていた亡骸たちがゾンビとして蘇ってわちゃわちゃやるっていう、あらすじだけ読むとよくあるゾンビ映画です。

で、タイトルにも書いてますけど、僕はゾンビ映画詳しくないです。ゾンビ映画には熱心なファンの方が居るのは承知していますが、僕は好きじゃないです。だって気持ち悪いじゃない。

そんな僕がこの映画を観た理由はただ一つ。監督がジム・ジャームッシュだから。ただそれだけであります。

ジム・ジャームッシュて誰やねん」という方もいらっしゃるでしょうから、簡単に説明しますと、ジム・ジャームッシュ監督はアメリカの映画監督でありながら、ヨーロッパの映画の影響を多く受けている監督でして、この監督の作品を説明するときによく言われるのが「脱力感のあるオフビート」という表現です。ありきたりなストーリー展開からズレた抑揚のない淡々とした見せ方が特徴です。お涙頂戴や感動の押し売り、ハリウッド的な何もかもがただ派手なだけ、といった作品群からは一線を画しているため、多くの映画ファンから支持されています。日本でもファンは多いですね。

また、ミュージシャンとの親交も深く、トム・ウェイツイギー・ポップなんかはよくこの監督の作品に出演しています。

そんな何やらオシャレ臭のするジム・ジャームッシュ監督作品をオシャレに観てまいりました。優雅にレモンティーを片手に。やだオシャレなあたい。

既に書いてます通り、ゾンビ映画なんで、ある程度物語の予想はできる訳です。なんかの異変で死人が蘇って街の人を襲って、わちゃわちゃして、主人公とヒロインだけ生き残ってキスして「完」。ゾンビ映画ってだいたいこんなんやろ。あんまり観たことないけど。

で、こんな予定調和的なゾンビ映画ジム・ジャームッシュが撮ったからこそ、「どうなるんだろう?」と映画ファンは気になるんですね。絶対怖くないんですよ。だって主演ビル・マーレイだぜ。ジム・ジャームッシュが監督で、ビル・マーレイが主演のゾンビ映画が怖い訳ないんですよ。絶対コメディなんですよ。あ、最初に予告編貼っておけばよかったですね。

如何でしょう。全然怖くなさそうでしょう。それなりにグロさはありますけれど、ホラー要素は皆無です。んで、書きながら気付いたんですけど、ゾンビ映画ってホラー映画なのかしら?なんかホラーとコメディの中間みたいなイメージありますよね。

まあ良いや。

とりあえずこの「デッド・ドント・ダイ」はめちゃくちゃゆる~いゾンビ映画でした。

ストーリーは無い様なもんで、街にゾンビが溢れて、ビル・マーレイアダム・ドライバークロエ・セヴィニーの3人の警察官がゆる~いやり取りを交わしながらゾンビたちと対峙していきます。

そしてそのゾンビ含め、この映画はちょっとした登場人物が錚々たる面子!

先述の警察官3人を演じた役者さんの他、日本刀でクールに戦う謎の女性にティルダ・スウィントン、さらにゾンビ役としてイギー・ポップにスタージル・シンプソンのミュージシャンからショーン・レノンのパートナーとしても有名なシャーロット・ケンプ・ミュールといったスーパーモデルまでがグロテスクなゾンビメイクを施して登場します。またただゾンビに殺されて生首をさらされるだけの役にセレーナ・ゴメス、雑貨屋のオタク店員にケイレブ・ランドリー・ジョーンズが起用されています。さらにさらにサラ・ドライバー、スティーブ・ブシェミトム・ウェイツエスター・バリントら初期のジム・ジャームッシュ作品の出演者も集結していますので、お目当ての出演者を探してみるのも楽しいかもしれません。

長閑な田舎町が徐々にゾンビに浸食されていくというお決まりの設定ながら、緊張感のない雰囲気で観客を煙に巻く様な映画ですので、一味違ったゾンビ映画を味わいたい方にはお勧めです。

 

さて、ではここからはちょっくらネタばれします。これから観に行く方は読まない方が良いです。下まで飛ばしてください。

 ※以下ネタばれ

あまり数を観てはいませんが 通常のゾンビ映画ではゾンビが突如現れたら「なんじゃありゃあ!」と登場人物たちは驚き、あくまで「ゾンビ」は正体不明の怪物として描かれることが多いように思います。

しかし、この映画では上に貼った予告編にある通り、アダム・ドライバー演じるロニー巡査があっさり「ゾンビですよ」とゾンビの要素をあっさりと言ってのける劇中劇要素、つまりメタフィクションの手法が採用されています。ですので首を切り落とす、頭部を破壊するなど、ゾンビの殺害方法も知っています。

しかもこの映画ではメタであることが序盤も序盤、冒頭でいきなり観客に示されることになります。

本作の主題歌はスタージル・シンプソンの書き下ろし曲「デッド・ドント・ダイ」。この楽曲を冒頭でいきなりビル・マーレイアダム・ドライバーがパトカーの中で流して「なんでこの曲かけるの?」「主題歌ですから」という会話がなされます。この時点で観客は「おや?」と思います。これは普通のゾンビ映画じゃないぞ、と。当然こちらもジム・ジャームッシュの普通のゾンビ映画なんて期待してませんからちょっとウキウキします。

そして先述のように、ゾンビが現れて小さな田舎町に異変が起こりながら、既に「ゾンビ」という設定を理解している登場人物の発言によって面倒な設定説明が省かれていますし、他にも「よくない結末になる」とロニー巡査がまるでこの映画の行く末を知っているような発言を繰り返します。最終的には「台本を読んだ」とまで!

他にもアダム・ドライバースター・ウォーズのキーホルダーを見せたり(スターウォーズ新3部作カイロ・レン役)、イギー・ポップ演じるゾンビが「コーヒー」と呟いたり(コーヒー&シガレッツ出演)とメタ要素がめためたに出てきます。

言ってしまえばこの「デッド・ドント・ダイ」はほぼ、内輪ノリのおふざけ映画です。監督の1984年の作品「ストレンジャー・ザン・パラダイス」以降ほぼ見ないエスター・バリントが出演したり、他にも過去作の出演者が集結しておりまして、まるで同窓会のよう。なんで「ミステリー・トレイン」「パターソン」の永瀬正敏は出てないんだろう。

監督自身が楽しむため、そしてファンの方が楽しむためにあるような映画ではないかと思いました。

そして劇中で世界で最初にゾンビ映画を撮影したジョージ・A・ロメロ監督の名前が出てくることからも、ゾンビ映画ファンに向けた小ネタも仕込まれていると思います。生憎僕にはわかりませんでしたが。

※ここまでがネタばれ

 

 

 

そんな訳でジム・ジャームッシュ監督作品のファンの方、ゾンビ映画のファンの方には強くお勧めしたい映画です。

しかし、それ以外で「なんか人気らしいから」とか「評判良いから」などの動機で劇場に足を運ぶのはあまりお勧めしません。

そんな方には是非、他のジム・ジャームッシュ監督作品を観て欲しいです。

「ナイト・オン・ザ・プラネット」や「パターソン」なんかがお勧めです。

 

それでは、最後までお付き合いありがとうございました。

あんまりおサボリ期間が長くなり過ぎないように適度に更新していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

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